世界の死亡の2.5%は不衛生な飲料水に起因する:WHO
Burden of disease attributable to unsafe drinking water, sanitation, and hygiene in domestic settings: a global analysis for selected adverse health outcomes
背景
中低所得国では未だ安全な飲料水が不足している。
WHOのJennyfer Wolfらは、WHOとUNICEFの公的データベースを用いたメタアナリシスにより、安全な飲料水が2019年の疾病負担(下痢・急性呼吸器感染症・低栄養・土壌伝播蠕虫感染症)に与える影響を推定した。
結論
国連のSDGs 6.1・6.2の達成による安全な飲料水・公衆衛生・清潔さの確保は、下痢・急性呼吸器感染症・低栄養・土壌伝播蠕虫感染症による2019年の世界の死亡者数を140万人、また障害調整生命年(DALYs)を7,400万年減少させると推定された。現在の死者数値は、世界の全原因死亡数の2.5%に、また 全DALYsの2.9%に相当する。SDGs 6.1・6.2未達成による集団寄与危険割合(PAF)は、下痢で0.69、急性呼吸器感染症で0.14、低栄養で0.10と推定され、土壌伝播蠕虫感染症では1とみられた。
評価
世界の公衆衛生に関する最もベーシックなデータで、すでに死亡者を170万人としたGBDの2019報告がある(https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30752-2/fulltext)。このWHO解析はSDGs6.1・6.2の達成の効果を推定する、という形のものだが、著者らは自らの手法が、より洗練されているとしている。政策効果の評価に利用するためには、推定のさらなる収束が必要である。