Disabling pansclerotic morphea(DPM)の遺伝子因を同定
Variant STAT4 and Response to Ruxolitinib in an Autoinflammatory Syndrome
背景
Disabling pansclerotic morphea(DPM:強障害性汎硬化強皮症)は、小児に発現し診断後生存期間が10年以内の難治希少疾患で、遺伝子因が疑われていた。
アメリカUniversity of CaliforniaのBroderickらは、常染色体顕性遺伝DPM 患者4名(3 家族)のゲノム解析およびJAK阻害薬による治療結果を報告している。
結論
STAT4に 新規ヘテロ接合性ミスセンス機能獲得型3バリアントを同定した。患者由来皮膚線維芽細胞におけるIL-6分泌亢進を認め、創傷治癒障害・コラーゲンマトリクス縮退・マトリクスプロトコラーゲン分泌障害を証明した。ルキソリチニブによるJAK-STATシグナリング阻害により、細胞レベルで炎症亢進性線維芽細胞表現型が改善した。患者への同薬投与により、炎症マーカーと臨床症状が消失し、有害作用は認められなかった。また、単一細胞RNA シーケンシングにより認められた免疫調節不全表現型パタンは、JAK阻害によって改善した。
評価
遺伝子因が想定されていたが、同定されていなかった難治希少疾患の原因を初めて同定した記念碑的論文である。STAT4の機能獲得バリアントという機構が説得力があるばかりでなく、今まで存在しなかった有効治療法も提示した。さらに、他の組織炎疾患へのJAK阻害薬の応用をも示唆する高インパクトな結果である。