高齢入院患者への歩行訓練は有益?
Effects of Implementation of a Supervised Walking Program in Veterans Affairs Hospitals: A Stepped-Wedge, Cluster Randomized Trial
背景
高齢者の不活動は身体機能を低下させるが、専門家の指導下の歩行プログラムは高齢入院患者の予後を良好にするか。
アメリカDuke UniversityのHastingsらは、8つの退役軍人医療施設に2日以上入院した60歳以上の患者(STRIDE導入前=6,722/STRIDE導入後=6,141)を対象として、歩行プログラムSTRIDEの導入効果を検証するStepped Wedge Cluster Randomized Trialを行った。一次アウトカムは、入院日数(LOS)・高度看護施設(SNF)への転院・入院中の転倒である。
結論
SNFへの転院はSTRIDE導入前が13%だったのに対し、STRIDE導入後が8%だった(調整OR 0.6)。LOS(RR 1.0)・入院中の転倒(OR 0.8)に発生差はなかった。
評価
直感的には有益と思われる方法だが、施設間のばらつきの効果が大きくなる試験デザインで、一次アウトカム効果は限定的であり、強力な推奨力をもつ結論は提示できなかった。著者らは、歩行プログラムは高齢患者の入院生活の質を改善する可能性が高く、安全性に考慮して、今後の取り入れを検討すべきとしている。