呼吸器感染症予防への石けん手洗い効果を確認:LSHTMメタアナリシス
Effectiveness of handwashing with soap for preventing acute respiratory infections in low-income and middle-income countries: a systematic review and meta-analysis

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
May 2023
401
開始ページ
1681

背景

石けんによる手洗いが急性呼吸器感染症(ARI)予防に有効であることは常識化しているが、直近のメタアナリシスは15年前である。
イギリス London School of Hygiene & Tropical Medicine(LSHTM)のRossらは、2021年5月25日までに低中所得国(LMICs)参加者に対して行われたこのテーマに関する26件の研究(n=161,659, 21件がRCT)の系統的レビュー・メタアナリシスを行った。一次アウトカムは、参加者のあらゆる病原体に起因するARIへの罹患率である。

結論

石けんによる手洗い介入の一次アウトカム効果を確認した(相対リスク[RR] 0.83)。介入は、下気道・上気道両感染症に同等に有効だった。ただし、インフルエンザ・COVID-19・全原因死亡は抑制しなかった。エビデンスレベルは中等度である。

評価

この分野のリーダーであるLSHTMが提示する15年ぶりの高信頼度の系統的レビュー・メタアナリシスで、以降の中心的参照点となる。ただし、医療・介護機関や高所得国のデータは含まれておらず、「環境感染リスクが高い場合にははっきりと有効」という結果である。インフルエンザ・COVID-19は手洗いでは予防できない、という確認も注目される。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell