穿孔のない急性虫垂炎は日帰り手術可能?
Ambulatory appendectomy for acute appendicitis: Can we treat all the patients? A prospective study of 451 consecutive ambulatory appendectomies out of nearly 2,000 procedures
背景
近年、急性虫垂炎の術後早期での退院・社会復帰が安全であることが示唆されているが、日帰り手術は可能か? また、日帰り手術が可能な患者をどのように選択すべきか?
フランスAP-HP, Hôpital Saint AntoineのRaimbertらは、同施設で急性虫垂炎に対して行われたすべての虫垂切除術を後向に調査し、日帰り手術(Saint-Antoine's Scoreが4以上が適応)と従来の手術の成績、日帰り手術の選択基準について検討した(n=1,730)。
結論
74%が従来の手術を受け、うち28%は翌朝に手術を受けた。26%は日帰り手術であり、70%は翌朝に再来院して手術となった。日帰り手術を受けた患者の83%はSASが4以上であり、90.9%は0日目退院となった。予定外のコンサルテーション・再入院に有意な群間差はなかった。多変量解析によれば、放射線画像で穿孔のないことが早期退院の予測因子であったが(オッズ比 6.073)、この患者グループの早期退院率は86.4%であったのに対し、SAS≧ 4の患者グループでは90.2%であった。穿孔のないことのみを日帰り手術の選択基準とした場合、581名が対象となった(60%増加)。
評価
SASによって選択された患者での日帰り手術は安全であり、穿孔のない患者も含めることで対象をさらに拡げうることも示唆された。ただ、本研究を実施したのは、SASを開発し長年日帰り手術を行っている病院であり(https://doi.org/10.1097/SLA.0000000000000795)、一般化には注意が必要かもしれない。