全身療法中癌患者への運動介入のリスク便益は評価不能
Harms of exercise training in patients with cancer undergoing systemic treatment: a systematic review and meta-analysis of published and unpublished controlled trials
背景
全身療法下癌患者への運動は忌避されるべきか。
デンマークThe Centre for Physical Activity Research(CFAS)のSimonsenらは、全身療法を行う予定がある癌患者への運動療法介入に関する129RCT(n= 12,044)を対象として、これを検討するシステマティックレビュー・メタ解析を行った。一次アウトカムは、有害イベント発生・医療サービス利用・治療認容性・治療奏効性である。
結論
運動介入は、有害イベント発生(リスク比 [RR] 1.87)・血栓症(RR 1.67)・骨折(RR 3.07)リスク増加と関連したが、逆に発熱リスク低下(RR 0.69)・全身療法相対強度改善(平均差 1.50%)と関連した。しかし、全アウトカムにおいてエビデンスの質は最低レベルであった。
評価
著者らの結論は、「現時点ではリスク便益評価を行うためのエビデンスは十分でない」、というものである。先行レビューは運動の安全性を認めている一方、エビデンスの質には言及しておらず(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8430671/)、低質のRCTを反復することの問題性を再び浮かび上がらせる。