帝王切開後出血予防にトラネキサム酸は無益:MFMU
Tranexamic Acid to Prevent Obstetrical Hemorrhage after Cesarean Delivery
背景
帝王切開時の失血軽減にトラネキサム酸の予防的使用が有益である、という仮説がある。
アメリカUniversity of TexasのPacheco ら(Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development Maternal-Fetal Medicine Units Network [MFMU])は、帝王切開妊婦11,000名を対象として、臍帯結紮後のトラネキサム酸投与の有効性・安全性を検証するRCTを行った(対照:プラセボ)。一次アウトカムは、退院または分娩後7日のいずれか早い時点までに発生した母体死亡または輸血の複合である。
結論
トラネキサム酸予防的使用の一次アウトカム効果を認めなかった。二次アウトカムにも有意差はなく、有害事象にも差はなかった。
評価
多数の小規模研究から長期にわたり形成されてきた仮説だが、2016の系統レビューは「信頼できるエビデンスなし」としていた(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27558956/)。2021のより信頼度の高いTRAAP2結果(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33913639/)を裏書する超大規模RCTである。この目的のための同薬の使用は支持されえない。