高齢者の治療抵抗性うつ病にはまずアリピプラゾール増強がOPTIMUM
Antidepressant Augmentation versus Switch in Treatment-Resistant Geriatric Depression
背景
高齢者のうつ病は、約30%がSSRI抵抗性とされる。
アメリカWashington UniversityのLenzeら(OPTIMUM)は、治療抵抗性うつ病の60歳以上患者619名を対象として、薬剤の増強・切り替え戦略の効果・安全性を比較するRCTを行った。第1段階では、投与中の抗うつ薬をアリピプラゾールで増強する群、ブプロピオンで増強する群、ブプロピオンに切り替える群に割り付けた。第2段階では、第1段階無効・不適格患者を、リチウムで増強する群とノルトリプチリンに切り替える群に割り付けた(各段階約10週)。一次アウトカムは、心理的幸福度のベースラインからの変化(NIHツールボックスポジティブ感情・生活満足度の下位尺度で評価)である。
結論
アリピプラゾール増強のブプロピオンへの切替えに対する一次アウトカム優位を認めた。両者無効であった患者では、リチウム増強とノルトリプチリンへの切替えに一次アウトカム差を認めなかった。
評価
薬物オプションが多く混乱していた争点に対し、「まずアリピプラゾール増強」戦略を支持する良質エビデンスである。同薬の転倒率の低さも重要選好因子となる。