トランスジェンダー青年へのジェンダー肯定ホルモン(GAH)使用は有益
Psychosocial Functioning in Transgender Youth after 2 Years of Hormones
背景
トランスジェンダーに対するジェンダー肯定ホルモン(GAH)使用が試みられているが、大規模前向データがない。
アメリカAnn and Robert H. Lurie Children’s Hospital of ChicagのChenらは、アメリカトランスジェンダー・ノンバイナリー青年の前向コホート315名を対象として、この問題を検討した。ベースラインおよび GAH使用 開始後6・12・18・24ヵ月の時点でトランスジェンダー一致尺度・ベック抑うつ質問票-II・改訂版小児用顕性不安尺度・NIHツールボックス感情評価で、ポジティブ感情・生活満足度を測定した。
結論
60.3%がトランスマスキュリン、58.7%が非ラテン系白人であり、7.9%に思春期での抑圧治療歴があった。GAH使用により、外見一致度・ポジティブ感情・生活満足度が上昇し、抑うつ・不安症状が低下した。外見一致度の上昇は、ポジティブ感情・生活満足度の上昇、また抑うつ・不安症状の低減と関連した。最高頻度の有害事象は自殺念慮(3.5%)で、2名が自殺死亡した。
評価
オランダで創始され、すでにかなり広がっている簡明な手法だが、大規模前向データが欠けていた。RCTではないが、有益性の一定のエビデンスを提示したランドマーク研究である。ただし、アメリカにはこの手法を禁止する州もいくつかあるという。