鉄キレート剤によるパーキンソン病治療仮説を反証:FAIRPARK-II
Trial of Deferiprone in Parkinson’s Disease
背景
パーキンソン病(PD)患者では黒質鉄の増加がみられ、鉄キレート剤deferiproneが有効である、という小規模データがある。
フランスUniversite Lille のDevosら(FAIRPARK-II)は、同薬の効果・安全性を検証する第2相RCTを行った(対照:プラセボ, n=372, 38週, ドパミン作動薬治療は停止)。一次アウトカムは、36週時点でのMDS-UPDRSスコアの変化である。MRIで脳内鉄量も探索した。
結論
Deferiproneの一次アウトカム効果を認めなかった。黒質線条体における鉄減少は実薬群が大きかった。実薬による主な重篤有害事象は、無顆粒球症・好中球減少症であった.
評価
NBIA(脳内鉄沈着を伴う神経変性症)でみられるパーキンソニズム様症状が、鉄キレート剤で軽快したために立てられた治療仮説だったが、反証された。再検討の余地はないものとみられる。PDにおける鉄沈着の意義に関して、さらなる検討が必要である。