オミクロン株流行期の米学校での全員マスク着用義務の解除は、感染者の4.5%増に帰結した
Lifting Universal Masking in Schools−Covid-19 Incidence among Students and Staff
背景
パンデミック時のアメリカでは、州公立校における全員マスク着用ポリシーは議論の的であった。
アメリカHarvard T.H. Chan School of Public HealthのCowgerらは、大ボストン圏97学区間で時差をもって不均一に行われたマスク着用義務化解除が、児童生徒・職員(n=各 294,084・46,530)のCOVID-19発生率に与えた影響を解析した。
結論
マスク着用方針廃止前のCOVID-19 発生率は全学区で同様であったが、マスク着用義務の解除は、児童生徒・職員1,000 人あたり、44.9 件の感染増に関連した。
評価
学校における「全員マスク」の効果は、RCTが非倫理的であるために確立が困難である。オミクロン株大流行期の調査結果を解析したこの論文は、「マスクをしない学校では感染者が4.5%増える」という数字を与えた。著者らはアメリカらしく、人種・社会経済格差を緩和するためにも全員マスクは好ましいとする一方、小児へのワクチン接種義務化問題には言及していない。