「刑務所疫学」が示す、オミクロン株に対するmRNAワクチンとデルタ株既感染の防御効果
Protection against Omicron from Vaccination and Previous Infection in a Prison System

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
November 2022
387
開始ページ
1770

背景

SARS-CoV-2オミクロン株の感染性の評価は、一般集団では困難である。
アメリカStanford UniversityのChinらは、カリフォルニア州刑務所システム閉空間の収容者・スタッフコホートにおいて、オミクロン株感染に対する mRNA ワクチン接種と感染既往のインパクトを評価した(n=[収容者] 59,794, [スタッフ] 16,572、2021/12〜2022/4)。

結論

ワクチン未接種者における感染既往のオミクロン株感染防護効果は、デルタ株流行前感染スタッフで 16.3%、デルタ株流行中感染スタッフで 48.9%と推定された。ワクチン接種の有効率は、2 回接種の場合、未感染収容者で 18.6%、デルタ株流行中感染スタッフで83.2%と推定された。3 回接種の場合は各 40.9%・ 87.9%と推定された。ブースター接種の2 回接種に対する有効率増し分は、未感染収容者で 25.0%、未感染スタッフで 57.9%と推定された。

評価

既感染者・未感染者の同定が難しい開社会と異なる高リスク閉社会の大規模コホートデータで、デルタ株既感染および原株ベースmRNAワクチン接種のオミクロン株への防護有効性に関する高信頼度の推定をもたらした。第一次mRNAワクチンのオミクロン株防護能はデルタ株より弱いものの、デルタ株自然感染に劣らず、またブ-スターも有効であることを示した。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell