高齢者の骨折はマルチモビディティにより致命化する

Association of Multimorbidity and Excess Mortality After Fractures Among Danish Adults

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背景

高齢者は骨折が命取りになりうることがよく知られている。
オーストラリア Garvan Institute of Medical ResearchのTranらは、Danish National Hospital Discharge Register/Danish Register on Causes of Deathデータに基づき、デンマークで1951年以前に生まれ、2001〜2014年に脆弱性骨折発生のあった307,870名を対象に、骨折時のマルチモビディティと骨折後死亡との関連を検討するコホート研究を行った。

結論

脆弱性骨折患者の42.9%がマルチモビディティを有した。併存疾患は以下のクラスターに分かれた。(1)比較的健康で0〜1の疾病有病状態である低マルチモビディティ群 (男性 60.5%／女性 66.5%）、（2）心血管疾患（男性 23.7%／女性 23.5%）、（3）糖尿病（男性5.6%/女性  5.0%）、（4）癌（男性 5.1%／女性5.0%）、（5）肝臓・炎症の単一疾患（男性のみ5.1%）。一般人口の同年齢者と比べ、体中心部や下肢骨折があった高齢患者は死亡リスクが高く、特に癌クラスターにおける股関節骨折は高死亡率と関連した（1年超過死亡率 40.8%）。また、マルチモビディテの数・複雑性は、死亡リスク増と関連した。

評価

デンマークの堅牢レジストリからは、COPD患者が股関節骨折すると1年後死亡率が健常人の3〜5倍増するという報告も出ている（https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18038248/）。高齢者の骨折の致命性を再確認する研究である。