「謎の小児急性肝炎」英発端44例を報告
Clinical Spectrum of Children with Acute Hepatitis of Unknown Cause
背景
2022年1月に英から報告された不祥の小児肝炎は、世界に波紋を広げている。
イギリスBirmingham Women’s and Children’s NHS Foundation TrustのKelgeriらは、2022年1月1日〜4月11日に同センターに集積された44例の報告を行っている。確定症例の定義は、血清アミノトランスフェラーゼ値 >500 IU/L 、非A〜E型、代謝・遺伝・先天・機械的原因の排除、である。
結論
全症例は生来健康で、年齢中央値は4歳であった。高頻度の症状は、黄疸(93%)・嘔吐(54%)・下痢(32%)であった。30例中27例がヒトアデノウイルス陽性であった。6例が劇症肝不全を発症し、その全例が肝移植を受けた。死亡例はなかった。肝移植6例を含む全員が自宅退院した。
評価
NEJMはアメリカUniversity of Alabama at Birminghamからの15例報告を併載しており(https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2206294)、そこでも89%でアデノウイルス陽性であったものの、肝生検ではウイルスは見出されなかった。NEJM Editorialは、ヒトアデノウイルス41との関連は未だ不明で、データ蓄積が必要である、としている。