「謎の小児急性肝炎」15例を報告・分析
A Case Series of Children with Acute Hepatitis and Human Adenovirus Infection
背景
2021年末から2022年初にかけて、英国から「謎の小児急性肝炎」ケースが報告され、ヒトアデノウイルス(HAdv)との関連が示唆された。
University of AlabamaのSanchezらは、2021年10月1日〜2022年2月28日にChildren’s of Alabama hospitalに入院したICD-10コード肝炎患児(18歳未満)を特定し、定量PCRでHAdV陽性となった急性肝炎患者も組み入れたケースシリーズを報告している。
結論
15名が急性肝炎であることが確認された。40%は原因が特定され、9名が原因不明であった。原因不明患者の89%がHAdV陽性であった。
肝生検では軽度〜中等度の活動性肝炎所見があったが、HAdVの存在は証明できなかった。肝組織PCRでは、50%がHAdV陽性であった。5名の検体では、3つの異なるHAdV41型ヘキソンバリアントが証明された。2名は肝移植を受けたが、他小児は対症療法で回復した。
評価
Londonグループが「新疾患か」と報告したが、米CDCが「アメリカでは小児急性肝炎は増えていない」と懐疑的見解を示し、2022/8段階では「未確認」として留まっている。このUABの3月時点報告は「未定」を確認するものである。英グループは最近、「HAdVでなく、AAV2と関連し、タイプII HLADRB1*04:01者で疾患化する」、という仮説をプレプリント発表している(https://www.science.org/content/article/mystery-hepatitis-cases-in-kids-linked-to-unexpected-viral-suspect)。