サル痘ウイルス感染症の端緒528例を報告
Monkeypox Virus Infection in Humans across 16 Countries− April-June 2022
背景
7月23日にWHOがPHEIC(国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態)宣言したサル痘に関する最初の高信頼度症例シリーズ報告が発表された。
英国Queen Mary University of LondonのOrkinら(SHARE-net)によるもので、国際共同研究ネットワークが528例を分析・報告した(2022年4月27日〜6月24日、16ヵ国43施設で診断)。
結論
感染者の98%はゲイまたはバイセクシュアル男性、75%は白人、41%はHIV感染者で、年齢中央値は38歳であった。感染者の95%で性行為による感染が疑われた。95%に発疹があり、73%が性器、41%が粘膜に病変を有した。発疹に先行する全身症状は、発熱(62%)・嗜眠・筋肉痛・頭痛で、リンパ節腫脹が56%でみられた。29%は他の性感染症を併発していた。曝露歴が明らかな23名の潜伏期間中央値は7日で、精液分析を行った32名中29名でサル痘ウイルスDNAを検出した。入院理由は、疼痛管理・軟部組織感染・経口摂取困難・眼病変・AKI・心筋炎・感染制御目的であった。死亡例はない。
評価
「次のパンデミック」の端緒報告である。ワクチンがあり、伝播性は限定的で、低致死率だが、7月29日のヨーロッパでの第1例報告(https://edition.cnn.com/2022/07/29/europe/spain-first-monkeypox-death-europe-intl-hnk/index.html)以後、死亡報告も散発している。