ブタ腎の脳死者への異種移植2例を報告
Results of Two Cases of Pig-to-Human Kidney Xenotransplantation
背景
遺伝子改変ブタからの異種移植は、移植医療の重要方向である。
NYU Langone HealthのMontgomery らは、α-1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子ノックアウトブタ腎臓の二人の脳死者レシピエントへの移植実験の結果を報告している。
結論
両レシピエントとも移植・再灌流後、すぐに尿を生成し始めた。54時間の実験期間中にレシピエント1のeGFRは移植前の23mL/分/1.73m2から62mL/分/1.73m2に、レシピエント2では55mL/分/1.73m2から109mL/分/1.73m2に増加した。クレアチニン値も両レシピエントで低下した。6・24・48・54時間後の全生検で、超急性拒絶反応・抗体関連型拒絶反応は認めれなかった。
評価
2021年9〜10月に行われた実験である。その後今年の1月7日には患者への心移植が敢行されて大きなインパクトを与えた(https://www.nature.com/articles/d41586-022-00111-9)。改変最適遺伝子の特定により成功に導かれつつある方向性で、米規制当局も後押ししている。遺伝子改変に未だ改善可能性があり、PERVも懸念事項だが、心移植ではCMVの感染があった。