非心臓手術でのトラネキサム酸使用
Tranexamic Acid in Patients Undergoing Noncardiac Surgery
背景
非心臓手術でのトラネキサム酸の使用を推奨する向きがあり、本格RCTが期待されていた。
カナダHamilton General HospitalのDevereaux ら(POISE-3)は、9535例の手術においてこれを検証するRCTを行った(対照:プラセボ, トラネキサム酸群:n=4,757)。一次有効性アウトカムは、術後30日での生命の脅威となる出血・大出血・重要臓器出血の複合、一次安全性アウトカムは、同時点での心筋損傷(MINS)・非出血性脳卒中・末梢動脈血栓症・症候性近位静脈血栓塞栓症の複合である。
結論
トラネキサム酸の一次有効性アウトカム優位を認めた(HR:0.76;絶対差 -2.6 パーセントポイント)。心血管系一次安全性アウトカムではトラネキサム酸の非劣性は確立されなかった。
評価
待たれていた大規模RCTによりトラネキサム酸の使用を支持する結果となった。安全性アウトカム非劣性の不確立をふまえ、使用は腹部大手術・胸部大手術・血管手術に限定されるべきであろう。