多剤耐性 HIV-1感染症にlenacapavir登場
Capsid Inhibition with Lenacapavir in Multidrug-Resistant HIV-1 Infection

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
May 2022
386
開始ページ
1793

背景

Lenacapavirは、ファーストインクラスのHIV-1カプシド阻害薬である。
The Dr. James J. Rahal Jr. Division of Infectious DiseasesのSegal-Maurerら(CAPELLA)は、同薬の効果・安全性を検証する第3相RCTを行った(n=72, 対照:プラセボ)。患者は多剤耐性HIV-1感染者で、血漿HIV-1 RNA量に基づき2コホートに分けた。コホート1(ウイルス量に関し治療効果の得られていない患者)では、14日間の期間中に先行治療薬への経口lenacapavir追加群とプラセボ追加群に 割り付けた。15日目以降(維持期)では、実薬群患者には6ヵ月に1回皮下注を投与、プラセボ群患者には実薬経口投与後、6ヵ月に1回皮下注を投与した。コホート2では、全員に1日目〜14日目に最適基礎治療に実薬経口投与を追加、15日目以降は6ヵ月に1回の皮下注に転換した。一次エンドポイントは、コホート1での、15日目までにウイルス量が0.5 log10 コピー/mL以上減少した患者の割合である。

結論

Lenacapavirの一次エンドポイント効果を認めた(コホート1で実薬群の88%、プラセボ群の17%が達成 [絶対差71パーセントポイント])。重篤有害事象に群間差はなかった。両コホートで維持期に、lenacapavirに関連するとみられるカプシドの配列置換が8例生じ(M66I置換6例)、感受性低下を伴った。

評価

HIV感染症の現在の最大の問題の一つ、多剤耐性に対する新規薬の登場である。報告では、効果は明白だが、短期・小規模試験であり、Gilead SciencesはFDAとやり取りを行っているようである。承認されれば、予防への利用も考えられる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell