南アのCOVID-19オミクロン株サージが軽かったのは「集団免疫」のおかげ
Population Immunity and Covid-19 Severity with Omicron Variant in South Africa
背景
COVID-19のSARS-CoV-2オミクロン株を初めて同定・報告した南アフリカでは、急速なサージの後感染は速やかに収束した。同国University of the WitwatersrandのMadhiらは、同国で2020年11月〜2021年1月に行われたSARS-CoV-2のIgG 血清陽性率のランダムサーベイの結果を発表している(n=7,010)。
結論
18.8%のみが COVID-19ワクチン接種済みであった。SARS-CoV-2 IgG 血清陽性率は、12歳未満の56.2%から50歳超の79.7%に及んだ。ワクチン接種者は未接種者より陽性率が高かった(93.1% 対 68.4%)。オミクロン株流行の第4波における感染発生と入院・死亡・超過死亡の発生との比率は、過去3波より低かった。
評価
同国におけるオミクロン株の同定は2021/11/25であり、ここでのサーベイデータはオミクロン株以前のものである。この論文は、同国でオミクロン株出現以前にワクチン・自然感染によりすでに「集団免疫」に近い状態であったことを示唆する重大で興味深い報告である。オミクロン株感染は年長者では再感染、年少者では初回感染が多かったことも示唆する。著者らは、オミクロン第4波が軽く急速に済んだのはワクチン・自然免疫による細胞性免疫の成立によるものではないか、と述べている。