イスラエルが初めて示す、COVID-19 Pfizerワクチン接種後の免疫減衰
Waning Immunity after the BNT162b2 Vaccine in Israel
背景
イスラエルはCOVID-19へのPfizerワクチン接種を最初に開始した国の一つである(2020年12月)。しかし、感染症例の劇的減少に続き、2021年6月中旬には再び感染爆発が起こった。可能な要因はδ(B.1.617.2)バリアントの出現とワクチン有効性の低下(免疫減衰)である。同国Technion-Israel Institute of TechnologyのGoldbergらは、同国全国データベースに基づき、2021年6月以前に接種完了したイスラエル住民53万人の2021年7月11日~31日間のSARS-CoV-2感染および重症COVID-19発症の動態を解析した。
結論
感染発生率は、60歳以上では最初期(2021年1月以前)の接種完了者が同3月の接種完了者より高かった(率比1.6)。同様に、40~59歳では同2月までの接種完了者が4月までの接種完了者より感染率が高く(率比:1.7)、16~39歳でも同傾向であった(3月完了者の5月完了者への率比:1.6)。重症COVID-19発生率比も60歳以上で1.8、40~59歳で2.2であり、16~39歳は症例数が少なく率比算出は不可能であった。
評価
「mRNAワクチンの効果は減衰する、ブースタ-が必要」という情報の基礎となったデータの正式論文版である。このような現象がδ株に特異的であるのかどうかについてはもはや確認のすべはない。また、著者らはこの時点でもワクチン接種者の感染率・重症化率はワクチン非接種者より低い、としているが数値は示していない。同国は2021年12月に入り4度目のブースター接種を始めている(https://www.msn.com/en-us/news/world/israel-begins-fourth-covid-19-dose-vaccine-rollout-for-people-60-and-over-as-omicron-cases-surge/ar-AAS2eKU)。