血友病Aに対するAAV遺伝子治療は有望?
Multiyear Factor VIII Expression after AAV Gene Transfer for Hemophilia A
背景
血友病の遺伝子治療の試みが進んでいる。University of PennsylvaniaのGeorge らは、18名の血友病A患者に対して行われたAAVベクター(SPK-8011)利用肝第VIII因子発現の第1/2相試験の中央値36.6ヵ月の追跡結果を発表している。患者を4用量コホートに分け、最小用量コホートでは5×1011ベクターゲノム(vg)/kg 体重、最大用量コホートでは2×1012 vg/kg を投与した。
結論
治療関連有害事象は8名に33件発現し、17件がベクター関連で1件は重篤有害事象、他はステロイド関連であった。2名で第VIII 因子発現が完全に消失したが、これは抗AAVカプシド細胞性免疫応答のためであった。他の16名では同因子発現が持続して定期補充療法が中止されており、うち12名はすでに追跡期間2年を超えている。出血の年間発生率は91.5%低下した。
評価
同療法では血友病Bがやや先行しているが(https://ashpublications.org/blood/article/134/Supplement_1/2059/428128)、血友病Aでも実行可能・有望であることが示された。著者らは、この試験によりにより 血友病Aの遺伝子治療にまつわる困難に関し解答がえられつつある、としている。試験終了は2022である。