AQP1プロモータ変異は腹膜透析腎不全患者をアウトカム不良にする
AQP1 Promoter Variant, Water Transport, and Outcomes in Peritoneal Dialysis

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
October 2021
385
開始ページ
1570

背景

水チャネルタンパクアクアポリン1遺伝子AQP1の変異が腹膜透析中の腎不全患者に及ぼすインパクトは。スイスUniversity of ZurichのDevuystらは、同患者1,851名の臨床・遺伝子データを比較解析し、変異インパクト軽減戦略を細胞・マウスモデル・ヒト検体レベルで検討した。

結論

AQP1プロモーターのコモンバリアントrs2075574が、腹膜の限外濾過量と関連していた。rs2075574 TT型患者(10〜16%)は、CC型患者に比しネット限外濾過量が低かった(506mL vs. 626mL)。平均追跡期間944日で15%が死亡、31%が血液透析に移行したが、TT型患者はCC 型より死亡・技術的失敗のリスクが高く(aHR: 1.70)、全死因死亡リスクも高かった。実験レベルで、このようなインパクトがコロイド浸透圧薬使用により軽減することが示唆された。

評価

同遺伝子の効果はnullバリアント患者の臨床像から理解されていたが極めて稀で、今回の高インパクトコモンバリアントの同定は画期的である。腎不全患者の遺伝子スクリーニングの可否が問題となる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell