デルタ株に対する COVID-19 ワクチンの有効性:英PHE分析
Effectiveness of Covid-19 Vaccines against the B.1.617.2 (Delta) Variant
背景
COVID-19ワクチンのSARS-CoV-2デルタ株(B1.617.2 変異株)への有効性に関する初めての大規模高信頼度分析が報告された。英Public Health EnglandのBernalらによるもので、シーケンシングデータのある19,109名の有症状成人でChAdOx1nCoV-19(アストラゼネカ)またはBNT162b2(ファイザー)ワクチン接種者に関するデータに関し、2種のケースコントロール分析を行った。
結論
両ワクチン1回接種後の有効性はデルタ株感染に関し30.7%、アルファ株感染に関し48.7%で、前者が顕著に低かった(ワクチン間差なし)。ファイザーワクチン2回接種後の有効性は、アルファ株感染に対し93.7%、デルタ株感染に対し88.0%であった。アストラゼネカワクチン2回接種後の有効性は、アルファ株感染に対し74.5%、デルタ株感染に対し67.0%であった。
評価
論文公刊前から流通していた情報で、両ワクチンともデルタ株では有効性が低下するものの非接種者とは大差であること、ブレークスルー感染は起こりうるが稀で、その場合でも他者を感染させるリスクは低いこと、ファイザーワクチンはアストラゼネカワクチンより有効であること等が常識化しつつある。デルタを超えるバリアントが出現しない限り集団免疫への接近は可能である。