先天性CMV感染症予防への高力価免疫グロブリンの効果を否定
A Trial of Hyperimmune Globulin to Prevent Congenital Cytomegalovirus Infection
背景
妊娠中のサイトメガロウイルス(CMV)初感染による先天性CMV感染予防に、免疫グロブリン療法は有効なのか。Duke UniversityのHughesら(CHIP)は、399名の患者を対象としてこれを検証するRCTを行った(対照:プラセボ)。対象妊婦は妊娠24週より前にCMV 初感染を診断されており、実薬群ではCMV 高力価免疫グロブリン(100 mg/kg 体重)を分娩まで月1回点滴静注した。一次アウトカムは先天性CMV感染症の発生と、胎児・新生児がCMV検査を行わなかった場合の胎児・新生児死亡の複合である。
結論
試験は無益性のため早期終結された。実薬群参加者の1名で重度アレルギー反応が出現した。また、実薬群では静注中の頭痛と悪寒戦慄の発現率が高かった。
評価
有効性を示唆する多くの例があったため、20万人の妊婦をスクリーニングして行われた決定的RCTだったが、意外にも無益として早期終結された。治療薬としては最近valacyclovirの検討が進んでいるというが、本命はワクチンであり、十分に有望とみられる(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8158681/)。