オートファジー中核遺伝子ATG7 変異5家族12例を初報告
Developmental Consequences of Defective ATG7-Mediated Autophagy in Humans
背景
マウスではオートファジーの中核遺伝子ATGの欠損は出生前死を導き、ヒトでもそうであろうとみられていた。英国Newcastle UniversityのTaylorらは、同遺伝子有害変異保有生存者を含む5家族の同定を報告している。
結論
ヒトATG7 に異なる有害劣性変異を有する5家族12名の患者を同定した。脳・筋肉・内分泌系に複雑な神経発達障害が認められ、小脳および脳梁の異常とさまざまな顔面変形が認められた。オートファジーによる不要物の隔離は顕著に低減していたが、基底オートファジーが行われていることは線維芽細胞や骨格筋で容易に確認された。このような有害ATG7変異のモデル系への導入は、オートファジー機能の低下または欠損を帰結した。
評価
英・フランス・スイス・ドイツ・サウジアラビアで同定された無縁とみられる5家族の報告により、アートファジーの臨床的意義に関する画期的な知見をもたらした。アートファジー自体への効果が少ないにも関わらず重症である症例という「謎」も報告されており、様々な重要結果が派生するとみられる。