ADA-SCIDへの新たなレンチウイルス遺伝子治療成功
Autologous Ex Vivo Lentiviral Gene Therapy for Adenosine Deaminase Deficiency
背景
アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症による重症複合免疫不全症(ADA-SCID)は、長く遺伝子治療のターゲットである。University of CaliforniaのKohnらは、同英米患者50名に対して行った新規遺伝子治療の24〜36ヵ月結果を報告している。自家CD34陽性造血幹・前駆細胞(HSPC)に、ヒトADAをコードする自己不活性化レンチウイルスベクターによってex vivo遺伝子導入し、ブスルファンで骨髄野生型幹細胞をノックダウンした患者に注入した。
結論
全患者が最長36ヵ月生存している。無イベント生存率(酵素補充療法再開・サルベージ同種造血幹細胞移植なし)は、36ヵ月時点で95%(英)であった。米試験30例中29例、英試験20例中19例で遺伝子組換えHSPCの長期生着が確認され、ADA活性値の正常化が維持された。モノクローンナル増殖・白血球増殖性合併症・複製能保有レンチウイルスの出現はなく、自己免疫イベント・GVHD移の発症もなかった。有害事象の大部分は低グレードであった。
評価
同疾患にはレトロウィルスによる遺伝子治療の成功が2009年NEJM報告されたが(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0805817)、治療患者で昨年T細胞白血病の発生が報じられた(https://ir.orchard-tx.com/news-releases/news-release-details/orchard-statement-strimvelisr-gammaretroviral-vector-based-gene)。今回の試みも短期的には明らかな成功だが、長期追跡が必要である。