CKD貧血患者へのバダデュスタットは「有効だが安全性には懸念」
Vadadustat in Patients with Anemia and Non-Dialysis-Dependent CKD
背景
バダデュスタットは経口低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素阻害薬で、エリスロポエチンと赤血球の産生を刺激する。Stanford UniversityのChertow ら(PRO2TECT)は、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)による治療歴がなく、Hb値10g/dL未満の透析導入前慢性腎臓病(NDD-CKD)患者1,751名、およびESAによる治療歴があり、Hb値8~11g/dL(米国)または9~12g/dL(米国以外)のNDD-CKD患者1,725名を対象として、同薬の有効性・安全性を検証する2件の非劣性RCTを行った(対照:ダルベポエチンα)。一次安全性エンドポイントは、MACE(全死因死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中)の初回発生、一次有効性エンドポイントは、Hb値のベースラインから24~36週目までの変化である。
結論
両試験とも、バダデュスタットの一次有効性エンドポイント非劣性を認めたが、一次安全性エンドポイントでは非劣性を認めなかった。
評価
ESAの制約を突破しようとして開発されてきた同クラス薬だが、先行のroxadustatと同様(https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa1901713)、「効果は劣らないが安全性には懸念がある」という結論を報告した。難しい判断となり、FDAの動向が注目されるが、承認されるとしてもさらなる長期結果の確認は必須である。