アストラゼネカ社ChAdOx1 nCoV-19ワクチン接種後の血栓性有害事象発生を報告
Pathologic Antibodies to Platelet Factor 4 after ChAdOx1 nCoV-19 Vaccination
背景
COVID-19のChAdOx1 nCoV-19 ワクチン(アストラゼネカ社)接種後の血栓症発生は世界に大きな波紋を引き起こした。英University College LondonのScullyらは、同現象(血小板減少症)が認められた初期23例の報告を行っている。
結論
2例を除き、血栓性疾患既往歴や薬剤使用歴はなかった。22例が急性血小板減少症および血栓症(主に脳静脈洞血栓症)を発症、1例は血小板減少症のみを発症して出血症状があった。受診時のフィブリノゲン値は全例低〜正常値で、Dダイマーは高値であった。血栓性素因や血栓形成性因子は認めなかった。PF4抗体検査は22例が陽性であった。
評価
NEJMはこの問題に関し3研究39例の症例報告を掲載しているが、多くが若い白人女性である等共通ベースのある可能性もある(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejme2106315)。発症機序は不明で、アデノベクターワクチンのクラス効果ではないかというのは重要問題だが、公衆衛生的には忍容すべき規模の有害事象とみられ、FDAも5月10日にEUAを出した(https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-fda-authorizes-pfizer-biontech-covid-19-vaccine-emergency-use)。