アルツハイマー病への新規抗Aβ薬donanemab、第3相へ
Donanemab in Early Alzheimer’s Disease
背景
アルツハイマー病(AD)に対する抗アミロイドβ(Aβ)抗体薬の臨床試験は失敗が続いたが、既沈着Aβをも除去しうる、という新薬 donanemabが開発された。Eli LillyのMintunら(TRAILBLAZER-ALZ)は、PETでタウ・アミロイド沈着を確認した早期症候性AD患者257名を対象として、同薬の効果・安全性を検証する第2相RCTを行った.患者を、同薬4週ごと静注最長 72週間継続群と、プラセボ群に割り付けた。一次アウトカムは、iADRSスコアのベースライン以後76週目までの変化量である。
結論
Donanemabの一次アウトカム効果が示唆された(差3.20、p=0.04)。二次アウトカムに有意差はなかった。76週時点でのアミロイド斑の減少量は実薬群が85.06センチロイド大きく、脳内タウ蓄積の減少量も0.01大きかった。実薬群で、アミロイドに関連する脳浮腫・滲出液貯留が出現した(大部分無症状)。
評価
アミロイド斑に特有のAβエピトープを標的化し、進行後でも有効と示唆されている新薬だが、この試験は早期患者に限定して行われた。第3相への進行が正当化されるとともに、6月にFDAが結論を出す、という先行薬aducanumabの命運にも影響を与える。