低温機械灌流保存は心停止ドナーからの肝移植可能性を高める
Hypothermic Machine Perfusion in Liver Transplantation--A Randomized Trial
背景
移植前肝の低温酸素化機械灌流保存は、心停止ドナーからの肝移植で有効・安全か。オランダUniversity Medical Center GroningenのPorteら(DHOPE-DCD)は、この問題を検証する多施設RCTを行った(n=160)。心停止ドナー肝移植を受ける患者を、通常単純冷却保存後の低温酸素化機械灌流保存肝を移植する群(機械灌流群)と通常単純冷却保存肝を移植する群(対照群)に割り付けた。一次エンドポイントは、移植後6ヵ月以内の非吻合部胆管狭窄発生率である。
結論
機械灌流保存の一次エンドポイント効果を認めた(RR 0.36)。再灌流後症候群は、機械灌流保存群の12%と対照群の27%で発生した。早期移植肝機能不全も機械灌流群での発生が少なく、非吻合部胆管狭窄の累積治療数でも機械灌流保存が優った。有害事象発生率に群間差はなかった。
評価
機械潅流にはこのhypothermic手法に加えnormothermic手法もあり、競合しているが、DCDからの肝移植で大きな問題となる非吻合部胆管狭窄抑制効果も示したことで、汎用性を各段に拡張した。肝移植待ちリストを短縮できる手法であることが示された。