インドCOVID-19第一波の感染者実数は検査陽性者数の約30倍
SARS-CoV-2 antibody seroprevalence in India, August-September, 2020: findings from the second nationwide household serosurvey
背景
一国のCOVID-19の感染者数・死亡者数の実態を把握することは困難である。昨年9月現在で世界第二の感染者数を記録したインドのICMR National Institute of EpidemiologyのMurhekarらは、同国で2020年8月18日〜9月20日の15,613世帯29,082名(10歳以上)を対象として行われた無作為抗体検査の結果を発表している。
結論
10歳以上の個人における、重み付け・調整後SARS-CoV-2 IgG抗体陽性率は6.6%であった。世帯ごとに1名ランダムに選択された成人15,084名の抗体陽性は7.1%であった。抗体陽性率は、年齢・性別・職業間で類似していたが、都市スラム地域で最も高く、都市非スラム域と農村地域がそれに続いた。2020年8月18日までに国内で累積7,430万件の感染が推定され、報告されたCOVID-19症例ごとに26〜32件の感染があった。
評価
昨年第一波後の状況報告である。現在の感染者実数は倍以上(〜15%・1.5億人)かともみられるが、公表される新規感染者数は急速に減ってきている(https://keyt.com/news/national-world/2021/02/25/india-was-in-crisis-months-ago-why-have-its-covid-cases-plummeted/)。ここで推定された「真の」感染者数は、PCR(抗原)検査による把捉数の〜30倍ということで、巨大国での感染者捕捉の困難さを示している。公称死亡者数が正しいとすれば感染致死率は0.1%以下となり、死亡者の実態把捉率も低いとみられる。