両側前庭機能低下を改善する人工前庭デバイス登場
Posture, Gait, Quality of Life, and Hearing with a Vestibular Implant
背景
両側前庭機能低下(BVH)には現在治療法がない。Johns Hopkins UniversityのSantinaらは、同大学開発の人工前庭デバイス(前庭神経3半規管枝を電気刺激)片側植え込みの効果を検証した。参加患者は、耳毒性(7例)・特発性(1例)BVHを2~23年間有した。検討した臨床アウトカムは、Bruininks-Oseretsky運動能力テストの平衡機能サブテストのスコア、修正ロンベルグ試験失敗までの時間、DGIスコア、TUGテスト所要時間等である。人工前庭デバイスを通常治療モードとプラセボモードとで作動させた。
結論
植え込み後半年、1年で、人工前庭デバイス作動モードでの姿勢・歩行・QOLアウトカムの改善傾向を認めたが、1例を除く全例で植え込み側耳の聴力が低下した。
評価
聴覚補助用の既存人工内耳に変更を加えたイノベーションである、という。聴覚とのトレードオフがあるものの一定の効果を示し、プロトタイプとして未来の可能性を開いた。