米原子力空母でのCOVID-19集団発生事例を報告
An Outbreak of Covid-19 on an Aircraft Carrier
背景
2020年3月23日〜5月18日に、4,779名の乗組員を乗せた米原子力空母Theodore Rooseveltで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が集団発生した。U.S. Navy Bureau of Medicine and SurgeryのKasperらは、全乗組員の同ウイルスPCR検査結果等詳細データを報告している。
結論
乗組員は平均年齢27歳、初期健康状態はおおむね良好だった。第一例発生以後5週以内に21%がPCR陽性となり、集団発生全期間中に26.6%が陽性となった。臨床診断基準を満たすPCR陰性者も60名存在した。検査陽性者の76.9%は陽性判定時点で症状がなかったが、55.0%は臨床経過のいずれかの時点で症状が発現した。陽性者の1.7%が入院し(0.3%がICU)、1名が死亡した。「密」空間で作業をしていた乗組員の感染率が高いと見られた。
評価
若年者が共住する閉域でのCOVID-19伝播様相を示す有意義な報告で、閉域への侵入後は急速に「人口」の30%程度までは感染が拡大する、若者は半数は無症状で滅多に重症化しない、等の現在の常識を確認している。