COVID-19にトシリズマブは有効なのか:BACC Bay Trial
Efficacy of Tocilizumab in Patients Hospitalized with Covid-19
背景
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するIL-6受容体阻害薬の有効性は初期から期待されていた。Harvard Medical SchoolのStone ら(BACC Bay Tocilizumab Trial)は、重症患者(炎症亢進で、発熱・肺浸潤・要酸素投与の2以上)を対象としてトシリズマブの有効性・安全性を検証するRCTを行った(対照:プラセボ、n=243)。一次アウトカムは、挿管または死亡である。
結論
トシリズマブの一次アウトカム有効性を認めなかった。重篤感染症は同薬群が少なかった。
評価
すでに多数の観察研究もあり、有効とする新しいRCTもある(https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa954/5870306)。この研究の著者は有効性にばらつきがあったとしており、NEJM Editorialも「無効」結論は避けている。最終結論が出たとはいえず、「禁忌」結論は出ていないが、著効例は少ないとみられる。