植物由来ウイルス様粒子によるインフルエンザワクチンが登場
Efficacy, immunogenicity, and safety of a plant-derived, quadrivalent, virus-like particle influenza vaccine in adults (18-64 years) and older adults (≧65 years): two multicentre, randomised phase 3 trials

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
November 2020
396
開始ページ
1491

背景

COVID-19は革新的なワクチン開発を加速しているが、植物由来の4価ウイルス様粒子(QVLP)インフルエンザワクチンの第3相試験結果が報告された。カナダMedicagoのLandryらによるもので、18〜64歳対象の試験(n=10,160)では、QVLPワクチン(1株あたり30μgのヘマグルチニン)またはプラセボ、65歳以上対象の試験(n=12,794)ではQVLPワクチン(1株あたり30μgのヘマグルチニン)または4価不活化ワクチン(QIV、1株あたり15μgのヘマグルチニン)をランダムに割り付けた。一次アウトカムは、18〜64歳対象の試験では、抗原的に一致するインフルエンザ株起因の呼吸器疾患予防のためのワクチンの絶対有効性、65歳以上対象試験ではインフルエンザ株起因のインフルエンザ様疾患予防するためのワクチンの相対的有効性である。

結論

18〜64歳対象試験では一次アウトカム効果を認めず、QVLP群の1.1%、プラセボ群の1.0%に重篤有害事象が生じた。QVLP群・プラセボ群双方の0.1%で治療起因有害事象が生じた。65歳以上の試験では一次アウトカム非劣性効果を認め、QVLP群の4.1%、QIV群の4.2%で重篤有害事象が生じた。

評価

Medicagoはカナダのバイオテクノロジー企業で、McGillとの共同開発である。オーストラリアのタバコ植物、ニコチアナベンサミアナタバコの外殻粒子の遺伝子改変産物である。従来のインフルエンザワクチン製造期間を大幅に短縮し、量産化できる。 同社はCOVID-19用ワクチンも第1相試験に入っている、という(NCT04450004)。画期的な報告である( https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0140673620320109)。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell