MERSにインターフェロンβ-1b+ロピナビル・リトナビルは「早期開始すれば」有効
Interferon Beta-1b and Lopinavir-Ritonavir for Middle East Respiratory Syndrome

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
October 2020
383
開始ページ
1645

背景

COVID-19に先行したMERSは2012年にサウジアラビア王国で始まり、2,494名の感染者を出し、感染者死亡率は実に34.4%であった。同国National Guard Health AffairsのArabiら(MIRACLE)は、同患者95名を対象として、遺伝子組換えインターフェロンβ-1b+ロピナビル・リトナビル併用の効果を検証するRCTを行った。一次アウトカムは90日全死因死亡である。

結論

発症後7日以内投与での一次アウトカム有効性を認めたが(RR:0.19)、8日以降投与では無効であった。重篤有害事象が介入群の9%とプラセボ群の19%に発現した。

評価

COVID-19パンデミック発生のため中途停止した研究である。類似のアプローチはCOVID-19でも行われているが、全般的な死亡率無効の印象が強い。このMERS報告は軽症例まで含め入院患者全員に投与する、という戦略の有効性を示唆する結果で、MERSのように致死率の高い疾患では有意味だが、致死率の低いCOVID-19ではあまり現実的ではない。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell