MERSにインターフェロンβ-1b+ロピナビル・リトナビルは「早期開始すれば」有効
Interferon Beta-1b and Lopinavir-Ritonavir for Middle East Respiratory Syndrome
背景
COVID-19に先行したMERSは2012年にサウジアラビア王国で始まり、2,494名の感染者を出し、感染者死亡率は実に34.4%であった。同国National Guard Health AffairsのArabiら(MIRACLE)は、同患者95名を対象として、遺伝子組換えインターフェロンβ-1b+ロピナビル・リトナビル併用の効果を検証するRCTを行った。一次アウトカムは90日全死因死亡である。
結論
発症後7日以内投与での一次アウトカム有効性を認めたが(RR:0.19)、8日以降投与では無効であった。重篤有害事象が介入群の9%とプラセボ群の19%に発現した。
評価
COVID-19パンデミック発生のため中途停止した研究である。類似のアプローチはCOVID-19でも行われているが、全般的な死亡率無効の印象が強い。このMERS報告は軽症例まで含め入院患者全員に投与する、という戦略の有効性を示唆する結果で、MERSのように致死率の高い疾患では有意味だが、致死率の低いCOVID-19ではあまり現実的ではない。