フランスから新型コロナウイルス感染症COVID-19初めての一国伝播解析
Estimating the burden of SARS-CoV-2 in France

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
Science
年月
May 2020
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背景

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症COVID-19の一国状況の俯瞰報告は未だ少ない。フランスは2020年3月17日から全土ロックダウンを行ったが、同国Institut PasteurのCauchemezらは、5月7日現在での全土データとダイヤモンド・プリンセスのデータを含めたモデル化により、フランス全人口に関する基本疫学指標推定とロックダウン効果の検討を報告している。

結論

感染者の3.6%が入院し(全入院件数95,210)、0.7%(感染者死亡率IFR)が死亡したと推定した(20歳未満では0.001%、80歳超では10.1%)。全年齢で、男性の女性に対する入院・ICU管理・死亡の高リスクを確認した。ロックダウンによりRは77%減少した(2.90から0.67)。緩和予定の5月11日までに、280万人(人口の4.4%)が感染すると予測された。

評価

G7国からの一国規模データは最初であり、Institut Pasteurからのものとして信頼感がある。PCR検査陽性者の20倍近くを「感染者」と推定したことが注目される。主な結論は、「集団免疫のレベルは不十分、必ず第二波が来る」というものである。しかし、データはPCR陽性入院者を中心とするもので、EU全体で現在大問題になっている介護施設内感染・死亡者に関しては、「意識的に除いた」と明言しており、そこまで含めると伝播のダイナミックス評価は変わる可能性がある、としている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell