中国CDCによる新型コロナウイルス病(COVID-19)起因2019-nCoV(SARS-CoV2)のゲノム解析報告:2020/1/30
Genomic characterisation and epidemiology of 2019 novel coronavirus: implications for virus origins and receptor binding
背景
2019年12月に中国・武漢市で報告されて以来、新型コロナウイルス(2019-nCoV[後にSARS-CoV2])によるCOVID-19は急速にパンデミックとなった。中国CDCのTanらは、1月30日付で入院患者9名(うち8名は武漢海鮮市場を訪れた)の気管支肺胞洗浄液サンプル・培養分離株ウイルスのゲノム解析結果を公表した。
結論
9名からの2019-nCoVの10ゲノム配列は類似し、99.98%以上の同一性があった。2018年に収集されたコウモリ由来SARS様コロナウイルス(bat-SL-CoVZC45・bat-SL-CoVZXC21)は、2019-nCoVと88%の同一性があったが、SARS-CoV(約79%)とMERS-CoV(約50%)とは同一性が低かった。系統解析において2019-nCoVはβコロナウイルス属サルベコウイルス亜属に分類され、bat-SL-CoVZC45・bat-SL-CoVZXC21より枝長が長く、SARS-CoVとは異なっていた。相同性モデリングではSARS-CoVと同様の受容体結合領域構造が存在した。
評価
中国CDCが論文発表前に公開し、直ちに世界で共有された最基礎データである。論文執筆段階では確診5,900例、死亡者106名であった。著者らは、単一ソースから非常に急速に発出したと推測しているが、第一例患者は同定されず、海鮮市場との関係に関しても「一人は全然行っていない」としている。介在動物は「隠れている(hidden)」とし、また、出現の原因がリコンビネーションである可能性は低い、ともしている。