新型コロナウイルス感染症(COVID-19):香港大が1月末データでシミュレーション
Nowcasting and forecasting the potential domestic and international spread of the 2019-nCoV outbreak originating in Wuhan, China: a modelling study
背景
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関し、初めての疾病規模と中国国外への拡大予測シミュレーション分析が報告された。香港大のWuらによるもので、中国CDCの報告、テンセント(騰訊)の都市間モビリティデータ、Official Aviation Guide(OAG)からのデータ等を用いた。データは2019年12月31日〜2020年1月28日間で、症例定義は臨床・疫学的であり、PCR定義ではない。
結論
1月25日時点の武漢市での感染者は75,815名、推定R0は2.68、ダブリングタイムは6.4日であった。このようなベースラインシナリオでは、武漢市からのウイルス持ち込みは、重慶461、北京113、上海98、広州111、深セン80であった。中国全土には武漢に1〜2週遅れで指数的に拡大しているとみられる。
評価
3月に入ってはすでに「歴史的」となったシミュレーション予測である。中国CDCは2月8日にPCRベースの確定診断が臨床・疫学的診断例の62%であった、というデータを公表しており(http://weekly.chinacdc.cn/en/article/id/e53946e2-c6c4-41e9-9a9b-fea8db1a8f51)、臨床・疫学診断に基づくこのシミュレーションには限界がある。3月初でも中国CDCは発生源動物を特定できていないうえ、PCR検査の正確度・実数(陽性率)を公表していないようである。