コンゴ民主共和国でエボラウイルス病治療4薬の「戦場のRCT」を敢行
A Randomized, Controlled Trial of Ebola Virus Disease Therapeutics
背景
2018年8月にコンゴ民主共和国(DRC)で勃発したエボラウイルス病(EVD)は、治療薬・ワクチンの大量投入により前回の西アフリカEVDと違った経過をたどっている。National Institutes of HealthのLaneら(PALM)は、同国で実施された4種の治療薬に関するRCTの結果を発表している(n=681)。患者を、標準治療に加え3種のモノクローナル抗体を混合した ZMapp(対照群)、抗ウイルス薬remdesivir群、モノクローナル抗体MAb114群、REGN-EB3(3種のモノクローナル抗体の混合)群に割り付けた。一次エンドポイントは28日時点での死亡率である。
結論
一次エンドポイント発生率は、MAb114群35.1%(vs. ZMapp群49.7%)であった(P=0.007)、REGN-EB3群では33.5%(vs. ZMappサブグループ51.3%)であった(P=0.002)。入院前の症状の持続期間が短いこと、ベースラインのウイルス量・血清クレアチニン値・アミノトランスフェラーゼ値の低値が独立に生存率改善と関連した。4件の重篤有害事象が試験薬と関連している可能性があった。
評価
DRCのEVDには西アフリカEVDと比べ、内戦のため医療供給が寸断され、時に崩壊する、という大きなハンディがある。医学の歴史に特記されるべき戦場のRCTである。