ビッグデータで示す「親の貧困は児の統合失調症リスク」
Association Between Parental Income During Childhood and Risk of Schizophrenia Later in Life
背景
幼少期の貧富とその後の統合失調症発症リスクの関連は。フィンランドUniversity of HelsinkiのHakulinenらは、1980~2000年のデンマーク全出生者を対象とするコホート研究を行った(n=1,051,033)。フォローアップは、対象者が15歳時点で統合失調症と診断されている、移住または死亡した場合、前述がいずれも起こらなかった場合は2016年まで継続した。
結論
幼少期に両親が低所得であった場合、子がのちに統合失調症発症するリスクは上昇し、また低所得環境期間の長さは発症リスクと関連した。例えば、15歳で最低階層にいた場合の出生後最富裕層持続者に対するHRは 4.12であった。逆に、最富裕階層から転落した児の場合も発症リスクは上昇した。他方、いかなる年齢からでも所得階層からの上昇は発症リスク低減と関連した。
評価
示唆されていた問題に関する最大・最長期の調査研究で、この関連を確かなものにした。貧困から派生する様々な要因が関与するとみられ、大きな研究領域も開いている。