HIV感染ALL患者へのCRISPR編集HSPC移植を報告
CRISPR-Edited Stem Cells in a Patient with HIV and Acute Lymphocytic Leukemia
背景
CRISPR編集の臨床応用が試みられ始めている。中国Peking UniversityのDengらは、HIV-1感染している急性リンパ芽球性白血病(ALL)患者(27歳)に対するCRISPR編集CCR5欠損造血幹細胞・前駆細胞(HSPC)移植の実行を報告している。
結論
完全ドナーキメラを達成し、患者のALLは完全寛解した。ドナー細胞のCCR5は欠損し、遺伝子編集関連有害事象なく19ヶ月以上持続している。CCR5欠損CD4+細胞の割合は、抗レトロウイルス療法(ART)の中断期間中わずかに増加した。CRISPR編集HSPCの移植・長期生着は成功したが、リンパ球のCCR5破壊率は約5%であった。ART中断でHIVは増加し、ARTは再開された。
評価
珍しいNEJMの1例報告である。ヒトCRISPR編集HSPC移植で19ヶ月の安全性を保障した。ALLの治療効果は見られたが、HIV自体にはインパクトがなかったようである。