大うつ病ではエピソード消退後も認知機能低下は持続する
Cognitive function following a major depressive episode: a systematic review and meta-analysis

カテゴリー
その他
ジャーナル名
The Lancet Psychiatry
年月
October 2019
6
開始ページ
851

背景

大うつ病ではエピソード消退後も認知機能低下が持続するというデータが蓄積されている。アイルランドUniversity of LimerickのSemkovskaらは、この問題を扱った252研究の系統レビュー・メタアナリシスを行った(大うつ病患者:n=11,882、健常対照者:n=8,533)。一次アウトカムは、健常対照者と大うつ病エピソード消退後患者間の認知パフォーマンスの差である。

結論

大うつ病エピソード消退後、調査認知機能変数の73%で障害がみられ(特に、情報処理速度・選択注視・ワーキングメモリ・言語学習・実行機能)、40%が軽度、29%が中等度であった。3つの長期記憶変数(ロジカル記憶の即時想起と遅延想起、Cambridge Neuropsychological Test Automated Batteryパターン認識潜時)では障害は重度であった。聴覚注意・一般自叙伝記憶・自発的抑制能力・自発的知的機能は健常対照者と有意差は見られなかった。ほとんどの変数で、障害は先行エピソード数と関連した。

評価

うつ病治療の焦点をムード単独からムード・認知機能双方へシフトさせる先行メタアナリシス(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24168753)を、寛解後にまで展開した。再発を繰り返すほど認知障害が拡大することも確認された。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(その他)

The New England Journal of Medicine (NEJM)、Lancet、Journal of the American Medical Association (JAMA)、British Medical Journal (BMJ)、Annals of Internal Medicine (Ann Intern Med)