死亡証明データを疫学研究に利用する
Assessment of Relative Utility of Underlying vs Contributory Causes of Death
背景
多疾病罹患(multimorbidity)がますます一般的になっているが、健康リスク要因の死亡リスク分析等では、死亡記録データにおける根本原因フィールドのみの利用でよいか。英University College LondonのBattyらは、UK Biobank(n=502,655)・Health Survey for England(HSE)・Scottish Health Surveys(SHS)データに基づき、死亡記録データにおける根本原因の単独使用と寄与原因との併用の有用性を比較した。調査主題は、リスク因子(喫煙・低学歴・高血圧)の死亡アウトカムとの関連である。
結論
リスク因子と死亡アウトカムとの関連は、死亡記録データのフィールドに関係なく、本質的に同じであった。例えば、UK Biobankにおいては、喫煙歴のRHRは心血管疾患0.98、がん0.99であり、HSE-SHSでは、0.94・1.01であった。
評価
喫煙が肺がんリスク因子である、という有名な研究(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2085438/)は、死亡記録のデータ分析から派生した。UK BiobankはNHSとの連携で多数の疫学結果を出してきており、一次データの利用法の検討はその基礎となる。