スタチンを服んでいる高齢者は脳震盪後認知症が少ない
Association Between Statin Use and Risk of Dementia After a Concussion
背景
スタチンに脳神経保護作用がある、という動物実験データがある。カナダUniversity of TorontoのRedelmeierらは、入院を要しない脳震盪高齢患者28,815名の前向観察研究を行った(スタチン使用者24.5%)。一次アウトカム・指標は、認知症の長期(中央値3.9年)発症である。
結論
脳震盪後患者の認知症発生率は健常者の約2倍強であった。同患者中スタチン投与群での一次アウトカム低下を認めた(RR:0.87)。この効果は多様な患者サブグループで認められ、経年的に増大し、心血管疾患薬の使用とは独立していた。他方、うつのリスクは改善しなかった.
評価
頭部外傷に対するスタチンの効果はすでに4RCTが検証しているが、結果は一致していない。この前向研究は、RCTではないが最大・最長である。同テーマの大規模RCTは実行困難であり、スタチンの多彩な効果の一つとして認められる可能性がある。