Hirschsprung病の分子遺伝学は複雑
Molecular Genetic Anatomy and Risk Profile of Hirschsprung’s Disease
背景
Hirschsprung病(HSCR)は遺伝性疾患だが、その精確な遺伝子ベースは不詳である。New York UniversityのChakravartiらは、同疾患患者190名のDNA配列変異・コピー数変異・核型変異を解析した。新規に同定された関連遺伝子は、マウス・ヒト胚の腸、およびゼブラフィッシュ胚での機能解析で確定した。
結論
4つの非コード域における5つ以上の変異が、HSCRの広範囲に及ぶリスクを規定していた(患者の48.4%と対照の17.1%、OR:4.54)。腸神経堤細胞発達に関与する24遺伝子(7遺伝子を新規同定)のまれなコード域変異の頻度が高く、非コード域における変異より高リスクだった(OR:10.02)。コピー数大変異も11.4%におよび、リスクは高かった(OR:63.07)。患者の72.1%で特定可能な遺伝的危険因子を1以上認め,患者の少なくとも48.4%に受容体チロシンキナーゼコード遺伝子(RET)の障害があった。個別患者のHSCRリスクの推定値は、5.33人/生児10万人〜8.38人/生児1,000人と広範だった。
評価
同疾患は単純メンデル遺伝ではないものの、先行研究は比較的少数のバリアントが原因となっていることを示唆していた。ここでの研究では絞り込みが行われず、むしろ原因の複雑性(ネットワークとの関連)を再確認させるものとなった。エピジェネティックな関連の可能性さえある。