WHOの提唱する世界的なHCV根絶は「モデル上は可能」
Scaling up prevention and treatment towards the elimination of hepatitis C: a global mathematical model
背景
DAAの登場によりHCV感染症(HCV)治療成績は劇的に改善し、2017年にWHOは2030年までに罹患率を80%、死亡率を65%減少させるHCV根絶への方針を示した。イギリスImperial College LondonのHallettらは、血液感染対策・PWID対象医療サービス・HCV感染スクリーニングなどのシナリオを考慮したモデルによるシミュレーションを行い、WHO提唱のHCV罹患率・死亡率が達成可能かを検討した。
結論
予防策・スクリーニング・治療介入の完全パッケージを導入すれば、1500万例のHCV発生を防止でき、2030年までに罹患率を81% 、死亡率を61%削減できるとみられる。この帰結には、中国・インド・パキスタンというHCV高罹患国での対策が大きく影響する。
評価
WHO提唱のHCV根絶の国際介入が「実行可能」であることを保証したモデル研究である。実効化のためには当然十分な資金が必要である。