リベリアのエボラの爪痕
A Longitudinal Study of Ebola Sequelae in Liberia
背景
エボラウイルス病(EVD)は西アフリカでは収束したが、現在コンゴ民主共和国で再び猖獗している。西アフリカEVDの生存者を追跡しているPREVAILIII研究は、生存者966名とその濃厚接触者2,350名を1年間追跡比較した研究結果を発表している。
結論
生存者において対照者よりも報告頻度が有意に高かった症状は、頻尿(14.7% vs. 3.4%)・頭痛(47.6% vs. 35.6%)・倦怠感(18.4% vs. 6.3%)・筋痛(23.1% vs. 10.1%)・記憶喪失(29.2% vs. 4.8%)・関節痛(47.5% vs. 17.5%)であった。ブドウ膜炎以外の有病率は両群とも追跡期間中に低下した。ほとんどの症状・神経学的所見・ブドウ膜炎の発生率は生存者が対照者より高かった。EBOV RNAは検査した生存者の30%の精液検体で検出され、EVD発症から検出までの期間は最長で40ヶ月であった。
評価
エボラ生存者を接触対照者と大規模比較した初めての報告である。接触対照者での症状が非常に多く、EVDが全コミュニティを巻き込む「災害」だったことが示されている。生存者ではブドウ膜炎の負担が多く、また精液中の長期残存はエピデミックの再燃の不気味な予兆となっている。