小児鎌状赤血球症貧血にハイドロキシウレア:アフリカでメジャーな臨床試験
Hydroxyurea for Children with Sickle Cell Anemia in Sub-Saharan Africa
背景
鎌状赤血球貧血に対するハイドロキシウレアの有効性が報告されているが、サハラ以南アフリカでは栄養不足やマラリア感染症などの影響から臨床試験はほとんど行われていない。Cincinnati Children’s Hospital Medical CenterのWareら(REACH)は、サハラ以南アフリカにおける鎌状赤血球貧血の小児635名を対象として、同薬による治療の実行可能性・安全性・有効性を評価した。
結論
開始3年後の治療継続率は94.2%であった。投与前と比べ、ヘモグロビン値と胎児ヘモグロビン値は有意に上昇し、臨床的鎌状赤血球関連事象(血管閉塞性疼痛・急性胸部症候群等)・感染症(マラリアを含む)・輸血・死亡などは有意に低下した。また、検査項目に関する用量制限毒性事象は5.1%に発生したが、安全性プロトコールの閾値を下回っていた。
評価
アフリカのマラリア流行地域で多数の小児に長期間実行されたことで高評価される研究である。特に、マラリアを含めて感染症が減った、という点が注目される。ただし、治療体制の確保が有効性・安全性に関与した可能性もあり、理想的には「大規模RCTを正当化した」研究ともいえる。